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前の記事で、ワンルームを手放そうと決めたら「売買も賃貸管理も一貫してできる業者」を探すところから始めてほしい、そのために3社くらいに話を聞いてみてほしい、と書きました。
ただ、3社に話を聞くと言われても、何を比較すればいいのか分からない、という方も多いと思います。ここでは、実際に見てほしいポイントを書きます。
そしてもうひとつ、この記事でどうしても伝えたいことがあります。手放すときにもう一度損をしてしまう方が、実際にいるということです。管理料が異常に高かったり、買取業者に安く買い叩かれたり。そうならないための記事だと思って読んでいただけたら嬉しいです。
比較ポイント①:売却と賃貸管理の両方に、きちんと対応できるか
ホームページや電話口で「売却も管理もできます」と言われることは多いです。ただ、その言葉だけでは、どれくらい実際に扱っているのかまでは分かりません。
とはいえ、実績や戸数を数字で問い詰めるような聞き方をする必要はありません。自分の状況を伝えて、どんな答えが返ってくるかを見るほうが、お互いに話しやすいと思います。
- 投資用のワンルームなのですが、こういう物件も扱っていただけますか
- 売却まで少し時間がかかりそうなのですが、そのあいだの管理もお願いできますか
- 同じような相談を受けられたことはありますか
答えの内容そのものより、どれくらい具体的に返ってくるかを見てみてください。
似た事例を扱っている会社なら、聞いていないことまで自然に補足してくれます。「よくあるケースですよ」「その場合はこういう流れになります」といった具合です。逆に、あまり扱っていない場合は、返事がふんわりしたものになりやすいです。
失礼な質問ではありません。これから大事な話を任せる相手なので、自分の状況を話して確かめるのは当然のことです。
会社の規模については、大きいから安心、小さいから不安、と単純には言えません。規模の違う会社をいくつか内側から見てきましたが、小さな会社にも実務に強い人はいますし、大きな会社でも担当者次第です。規模は目安のひとつであって、決め手にはしないほうがいいと思っています。
なお、この「両方できるか」を最初に確認しておくことには、もうひとつ理由があります。売却には時間がかかることがあり、そのあいだ管理を安心して預けられるかどうかに関わってくるからです。その話は別の記事で詳しく書きます。
比較ポイント②:サブリースの解約手続きにも付き合ってくれるか
サブリースが付いたままのワンルームを手放す場合、解約の手続きが必要になります。このとき、どこまで付き合ってくれるかは会社によって違います。
以前勤めていた会社では、サブリース付きの物件を扱うことが多く、解約の事務手続きから売却まで一貫して担当していました。委任状をもとに書類をそろえたり、オーナーさんの意向をサブリース会社に伝えたり、手続きの段取りを組んだり、という部分です。
ただ、どの不動産会社でもこうした対応をしているわけではありません。だからこそ、最初に聞いておいてほしいと思っています。
- サブリースが付いたままなのですが、こういう物件も扱っていただけますか
- 解約の手続きも、一緒に進めていただけますか
- 解約から売却まで、どんな流れになりますか
ここでも、どれくらい具体的に返ってくるかを見てみてください。扱い慣れている会社なら、聞いていないことまで自然に説明してくれるはずです。
ひとつ補足しておきます。不動産会社ができるのは、あくまで事務的なサポートです。違約金の減額を求めるといった交渉ごとは、不動産会社が代理でできる範囲を超えます。そういう話になりそうなら弁護士の領域です。
ですので「うちが交渉してあげますよ」と安請け合いする会社があったら、そこは一度立ち止まったほうがいいかもしれません。できないことをできると言う会社に、大事な話は任せられません。
解約の流れそのものについては、こちらの記事でも書いています。
→ サブリースを解約したあと、管理はどうなるのか
→ サブリース解約の進め方
比較ポイント③:媒介契約を結ぶ前の聞き取りで、こちらの意向が中心にあるか
これは数字で比べられない項目ですが、実は一番大事かもしれません。
売却を依頼するときは、媒介契約という契約を結びます。ここを結んでしまうと、しばらくその会社と進めていくことになります。だから、契約を結ぶ前の段階での話し方を、よく見ておいてほしいのです。
見てほしいのは、こういうところです。
- こちらがどうしたいのかを、先に聞いてくれるか
- 話が「うちならこう進めます」ばかりになっていないか
- いくらで売りたいか、いつまでに手放したいか、そういう希望を聞いてくれるか
- 分からないことを、分からないままにせず調べてくれるか
売却の目的は、人によって違います。少しでも高く売りたい方もいれば、多少安くても早く終わらせたい方もいます。ローンの残債との兼ね合いで、下げられる限度がある方もいます。
その事情を先に聞いてくれる会社かどうか。ここは、はっきり差が出るところです。
聞き取りをせずに「この価格なら売れます」「早く決めたほうがいいです」と話が進んでいく場合、それは会社の都合で組まれた提案かもしれません。悪気がなくても、こちらの気持ちが置き去りになったまま契約まで進んでしまうことがあります。
媒介契約には期間があります。専任媒介や専属専任媒介の場合、宅地建物取引業法で上限が3ヶ月以内と決められていて、更新のタイミングで見直すことができます。
また、契約を結んだあとでも、不動産会社が報告義務を果たしていないなど、会社側に落ち度がある場合には、違約金なしで解除できるとされています。ただし手続きや条件があるので、実際にその状況になったら専門家に相談してください。
ここで言いたいのは、契約を結ぶ前の段階が一番身軽だ、ということです。少しでも「自分の話を聞いてもらえていないな」と感じたら、その場で決めずに持ち帰ってください。
ただし、ひとつだけ注意があります。感じがよくて話しやすいことと、信頼できることは、別のことです。
最初にワンルームを買ったときの担当者も、感じのいい人ではなかったでしょうか。人当たりの良さは、営業の技術でもあります。感じの良さは必要条件ではありますが、それだけで決めないでください。①や②で聞いたことに、きちんと答えてくれたかどうかと合わせて判断してほしいと思います。
比較ポイント④:「買取にしませんか」と言われたときに
相談していると、こう言われることがあるかもしれません。
「うちは買取もやっています。サブリースが付いたままでも買い取れますよ」
魅力的に聞こえると思います。買主を探す期間がいらない、早く終わる。疲れているときほど、この言葉に飛びつきたくなります。
買取そのものは悪い選択肢ではありません。ただ、買取価格は仲介で売る場合より安くなります。業者が転売して利益を出す前提だからです。
目安は仲介価格の7〜8割と言われています(イエウール/グローベルスは6〜8割)。7割を大きく下回る提示があれば、理由は必ず聞いてください。
ただし、この数字はそのまま当てにできません。
買取価格の公的データは存在しないからです。上の数字は、仲介の成約価格に0.7や0.8を掛けた試算値です(LIFULL HOME’S)。
そして、これは居住用物件の話です。投資用ワンルームは家賃収入をもとに価格を計算するので、計算のしかたが違います。サブリースが付いていれば、元になるのはオーナーさんが受け取っている低いほうの賃料です。
「7〜8割だから妥当ですね」と自分で納得してしまわないでください。出発点の目安であって、オーナーさんの物件の答えではありません。
聞いてほしいのは、この4つです。
- 買取ではなく仲介で売った場合、いくらくらいになりそうですか
- その差額は、どういう理由で生まれていますか
- 買取価格を出した根拠を教えてください
- 賃料はいくらとして計算されていますか
買取価格だけを見せられても、妥当かどうかは判断できません。仲介の金額と並べて、はじめて比べられます。1社だけで決めないでください。
安さそのものが問題なのではありません。その安さに納得できているかどうかが問題です。
そのうえで、それでも「もう疲れた、時間をかけずに手放したい」という方もいると思います。サブリースが付いたままの物件や、条件の難しい物件を専門に買い取っている会社もあります。
訳あり物件の専門店【ラクウル】こうしたサービスを使う場合も、上に書いたことは同じです。仲介ならいくらになるかを聞いて、並べて比べてから決めてください。
費用の話は、別の記事にまとめました
もうひとつ、確認してほしい大事なことがあります。管理を任せる場合の料金です。
賃貸管理の手数料には、実は法律で決められた上限がありません。仲介手数料には上限がありますが、管理料にはないのです。つまり、相場を知らない人には、いくらに設定しても違法にはならないということです。
ここは数字を並べて説明する必要があるので、別の記事にまとめました。売却までのあいだ管理を任せるなら、必ず目を通しておいてください。
→ 賃貸管理の手数料に「上限」はありません。売却までの間、いくら払うことになるのか
最後に:焦らないでください
ここまで4つ挙げました。全部を一度の面談で確認しなければいけない、ということではありません。
疲れているときに、いきなり3社と話すのはしんどいと思います。まず1社に話を聞いて、少し時間を空けて、また次の会社に聞いてみる。そのくらいのペースで大丈夫です。聞いていくうちに、「1社目はここを説明してくれなかったな」というふうに、比べる目が自然にできてきます。
そして、これだけは覚えておいてください。
判断を急かしてくる業者がいたら、それは立ち止まる材料になります。
「今日中にお返事をいただければ」「今の相場なら今がチャンスです」——こう言われたときは、急ぐ理由を聞いてください。
期限がある話は、実際にあります。買主さんの都合や、手続き上の期限で本当に急ぐ場合もあります。だから「急かす業者は全部だめ」ではありません。急ぐ理由を、納得できる形で説明してくれるかどうかで見てください。
説明してくれる業者なら、話を聞く価値があります。説明できない、あるいははぐらかす業者なら、そこはご縁がなかったということでいいと思います。
一つずつでいいので、自分で納得しながら進めてください。時間がかかっても、それが一番確実だと思います。「何もしない」より「ゆっくりでも動き出せた」、この違いはとても大きいです。
業者選びの全体の流れについては、こちらの記事もあわせて読んでみてください。

