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「査定してみようかな」と思い始めたとき、最初に感じるのは不安ではないでしょうか。
電話がたくさんかかってくるんじゃないか。しつこく営業されるんじゃないか。査定を頼んだら売らないといけなくなるんじゃないか——。
そういう心配をしている方に、まずお伝えしたいことがあります。
査定は、売ることを決める前にやるものです。
今の自分の物件がいくらで売れるのかを知ること、それだけでも十分に意味があります。数字がわかると、「手放す」「持ち続ける」「もう少し待つ」の判断が、初めてできるようになります。
査定を出す側にいた立場から、一括査定のデメリット3つと、何社に頼めばいいのかを書きました。先に答えを言うと、3社前後です。
投資用ワンルームマンションの査定、一般の査定と何が違う?
一般の住宅と、投資用ワンルームマンションでは、査定の見方が異なります。
住宅の場合は「立地・築年数・広さ」が中心ですが、投資用マンションの場合は「現在の賃料・空室状況・サブリースの有無」なども査定に影響します。
またローン残債が売却価格を上回る場合は、差額を自己資金で補填しないと売却できないケースもあります。
だからこそ、投資用物件の売却に慣れた業者・サービスを選ぶことが重要です。住宅専門の会社に頼むと、相場より低い査定額が出たり、適切なアドバイスをもらえないことがあります。
査定額は、どうやって決まるのか
査定に出す前に、値段の決まり方を知っておくと、出てきた数字を自分で判断できるようになります。
不動産の値段には、大きく3つの出し方があります。
| 出し方 | 何を見るか |
|---|---|
| 取引事例比較法 | 似た部屋が、いくらで売れたか |
| 収益還元法 | 家賃から逆算すると、いくらになるか |
| 原価法 | 今の物価で建て直すと、いくらかかるか |
同じ部屋でも、どの見方をするかで数字は変わります。ひとつの数字だけで決まる金額ではありません。
投資用ワンルームは、家賃から逆算される「収益還元法」が多いです
買う人が投資家に限定されるためです。投資家が見ているのは「この部屋を買うと、いくらの収入になるのか」ということになります。
家賃10万円、利回り5%を求める買主なら
10万円 × 12ヶ月 ÷ 5% = 2,400万円
家賃が8万円に下がっていたら
8万円 × 12ヶ月 ÷ 5% = 1,920万円
家賃がいくらかで、値段が変わります。サブリースで家賃を減額されている物件は、その分だけ売れる値段も下がります。
ですが、サブリースが外れれば家賃は入居者が払っている額に戻ります。逆算される数字も変わりますし、買い手の幅も広がります。
言葉を選ばずに言えば、買う側からしたらサブリース付きの部屋は「厄介ごとが付いてくる部屋」です。だから値段を下げないと選ばれないのです。
その査定額は、誰が決めているのか
私が査定を出していたときも、この計算で数字を作っていました。
ただ、出た数字をそのまま売り出し価格にしたことは、ほとんどありません。計算した数字をお見せして、オーナーさんと話して決めていました。最後に売り出したのは、オーナーさんが決めた価格です。
法律も、査定額を「意見」と呼んでいます。不動産会社を縛る法律(宅地建物取引業法)の第34条の2第2項に、こう書かれています。
宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
意見であって、決定ではありません。そして根拠を明らかにするのは、業者側の義務です。だから、聞いていいんです。
会社によって査定額が違うことも、実際にありました。ほかの会社が何を見て数字を出していたのかは、私にも分かりません。
だから3社の査定額が並んだときに、どれが正解かを探さなくていいと思います。聞くのは「なぜ、その金額なのか」のほうです。
売り出したあとに値下げを相談したのも、相場から離れていて、一定期間問い合わせが入らなかったときでした。値下げの話は「値下げしましょう」と言われたらにまとめています。
自分でも、成約価格を調べられます
査定を頼む前に相場を見ておくと、出てきた査定額と比べる基準ができます。ここでは無料で使えるものを2つご紹介します。
- レインズマーケットインフォメーション:国土交通省指定の機関が運営。実際に売買が成立した「成約価格」が調べられます
- 不動産情報ライブラリ:国土交通省が運営。駅からの距離・専有面積・築年数なども確認できます
SUUMOなどのポータルサイトに載っている価格は「売主の売りたい価格」であって、売れた価格ではありません。上の2つのほうが、成約した金額に近いです。
投資用ワンルームの査定・一括査定に対応しているサービス
マンション.navi(マンションナビ)
マンション専門の一括査定サービスです。全国2,500社以上と提携していて、売却査定(最大6社)と賃料査定(最大3社)を同時に頼めます。
査定後に営業電話が来る仕組みについては、こちらで詳しく解説しています。
「売ったらいくら」と「貸し続けたらいくら」の両方が並ぶと、判断の材料が揃います。
ただし最大6社に送ると、全ての業者から連絡が来ます。査定を依頼する社数は自分で選べるので、対応可能な範囲で依頼しましょう。
ノムコム・プロ(野村不動産ソリューションズ)
野村不動産グループが運営する、投資用・事業用不動産の専門サイトです。一括査定ではなく、野村の仲介に直接査定を依頼する形になります。ワンルームのような区分マンションにも対応しています。
複数社とのやり取りが負担なら、まず1社に話を聞く入口として使えます。ただし対応エリアは首都圏・関西・愛知が中心で、それ以外の地域は対応外の場合があります。
イエヲタ
投資用マンションの売却を専門にしているサービスです。コンシェルジュが間に入るので、オーナーさんの連絡先は不動産会社に渡りません。
ローンが残っていても相談できます。何社もの電話に対応するのが難しい方に向いています。
ただし、運営会社は自身も宅地建物取引業者です(株式会社Rwave・東京都知事(02)第102173号)。
「100社以上から最高額を探す」と説明されていますが、その過程はオーナーさんからは見えません。最終的にどの会社と取引するのか、なぜその金額なのかは、必ず聞いてから決めてください。
イエイ
全国対応の一括査定サービスです。物件の状況で「賃貸中」を選べて、年間の賃料を入力する欄があります。
「簡易査定」を選べるので、入居者がいる部屋でも訪問なしで数字が出ます。運営は株式会社じげん(東証プライム上場)です。
ただし、入力画面での聞き取りは多いです。物件の住所・マンション名・部屋番号まで入れます。私も触ってみましたが、この情報量を出すかどうかは、先に決めておいたほうがいいと思います。
「お断り代行サービス」があり、断りの連絡を代わりにしてもらえます。イエイの加盟店以外にも対応すると案内されています。
熱心で断りづらいと感じたときに使える仕組みがあるのは、電話が苦手な方には心強い点だと思います。
いえカツLIFE
特殊な事情がある売却に対応していて、物件種別で「投資マンション(1R、1K)」を選べます。仲介・買取等を同時に比べられます。運営は株式会社サムライ・アドウェイズ(東証スタンダード上場)です。
ただし、入力画面での聞き取りがとても多いです。番地・マンション名・部屋番号・満室時の想定年間収入まで入れます。私も触ってみて、ここまで情報を出すのは怖いなと感じました。
物件詳細を入力することで精度の高い数字は出ると思いますが、問い合わせが多く入る可能性も出てきます。そういったことも理解した上で、ご利用されるのであればいいと思います。
ズバット不動産売却
最大6社に一括で査定を頼めます。物件種別に「投資用」という区分はないので、ワンルームは「マンション」を選びます。間取りは1R、専有面積は10平方メートルから選べました。
「現在お住まいですか」に「いいえ」と答えると賃貸中を選べて、年間の家賃収入を入れる欄が出てきます。運営は株式会社ウェブクルーです。
気をつけたいのは査定方法です。最初から訪問査定が選ばれた状態になっています。
賃貸中のワンルームは入居者がいるので室内を見てもらえません。金額の目安だけ知りたいときは、机上査定に自分で選び直してください。
査定を頼んだあとで連絡を止めてほしくなったときは、ズバットの窓口に伝えれば各社への連絡を止めてもらえます。
申し込みフォームを最後まで触って確かめた中身は、ズバット不動産売却で、査定後の連絡を止める方法に書きました。
ワンルームマンションの査定は、結局何社に頼めばいいのか
3社前後が現実的なラインです。
1社だけでは、その金額が妥当なのか判断できません。比べる相手がいて初めて、数字の意味がわかります。
かといって6社に頼むと、6社から連絡が来ます。同じ説明を6回して、断りの連絡も6回。査定の段階で疲れきってしまい、肝心の「売るかどうか」を落ち着いて考えられなくなります。
3社なら、金額の傾向がつかめて、対応の違いも比較できて、負担も現実的な範囲に収まります。
ただし「まだ売ると決めていない、相場だけ知りたい」段階なら1社で十分です。依頼時の備考欄に「現時点では相場の確認のみ」と書いておくと、営業の熱量がかなり変わります。
一括査定のデメリット。登録する前に知っておきたいこと
- 登録した業者から電話・メールが来ることがある
- 備考欄に「電話不可」「メールのみ希望」と書けます。ただし、対応してもらえるかは会社によります
- 査定額はあくまで目安。実際の売却価格とは異なる場合がある
私が実務で経験した中では、「査定を頼んだら売らないといけない」ということはありません。断ることは普通にできます。まず数字を知ることから始めて問題ありません。
どのサービスを選べばいいのか
複数社を比べたい方はマンション.naviのような一括査定から、まず1社にじっくり話を聞きたい方はノムコム・プロのような直接依頼から始めるのがいいと思います。
「まだ相談する段階ではない、数字の目安だけ知りたい」という方は、この記事の前半で紹介したレインズマーケットインフォメーションと不動産情報ライブラリがあります。どこにも連絡せずに数字を見られます。
どの会社に頼むか迷う方は「怪しい不動産業者の見分け方、そして本当にいい業者って何だろう?」も参考にしてみてください。

