一括査定に登録する前に。電話を最小限にして始める順番

ソファでスマートフォンを手にし、こめかみに手をあてる人物 売却・査定

今、私の携帯には知らない番号から電話がかかってきます。出ると、不動産会社です。

「以前ご登録いただいた件ですが、その後、売却のご意思はいかがでしょうか」

私は不動産を持っていません。一括査定サイトを使ったこともありません。

おそらく数年前に、どこかの誰かが査定を申し込むときに、電話番号を打ち間違えたのだと思います。

それだけのことで、私の電話は鳴り続けています。最初に鳴り出してから、もう2年になります。

私は、かける側にもいました

以前、不動産会社で働いていたとき、私は電話営業をしていました。

名簿を使って、すでにワンルームマンションを買ってしまった方に「お困りではありませんか」と連絡する仕事です。

相手がどんな時間を過ごしているかは、受話器の向こうまで見えません。仕事中かもしれないし、看病の最中かもしれない。

それでもリストの上から順にかけていきます。

かける側と受ける側、その両方を経験して思うのは、電話という手段そのものが、相手の状況を確かめられないということです。

なぜ、電話が止まらないのか

一括査定サイトの仕組みを知ると、理由がわかります。

一括査定サイトが不動産会社に提供しているのは、物件の情報ではありません。「売る意思があって、連絡先がわかっている人」の情報です。

だから申し込みフォームでは、電話番号の入力が必須になっています。連絡先のない情報には、送客先の会社にとっての価値がないからです。

そして一度渡った情報は、その場かぎりでは終わりません。私の携帯が2年経っても鳴るのは、そういうことです。

一社ずつ断っても、また別の会社からかかってきます。次の会社にとっては「初めての連絡」だからです。

断ったあとにきちんと連絡をやめる会社もあれば、そうでない会社もあると思います。

私はかけてきた会社を記録していないので、同じ会社が繰り返しているのかどうかは分かっていません。

ちなみに、一括査定の利用者アンケートでは、およそ半数の48.6%が連絡手段に「メールのみ」を選んでいます。電話を避けたい人は、少数派ではありません。

「匿名」からはじめてみてください

一括査定そのものが悪いわけではありません。

一社だけに聞くと、その金額が高いのか安いのか判断できません。複数社を比べられるのは、大きな意味があります。

だからこそ、入り方が大事です。

いきなり個人情報を入力するのではなく、まず「匿名査定」から始めてみてください。それだけで、鳴る電話の数は変わります。

1. まず、連絡先を出さずに相場を知る

査定サイトの中には、名前や電話番号を入力せずに、おおよその価格だけを確認できる匿名査定を用意しているところがあります。

この段階では不動産会社に情報が渡らないので、営業の連絡は来ません。

まず「だいたいこのくらいなのか」を掴むだけなら、ここで十分です。

2. 候補が出たら、決めるまえに調べる

ここが一番大事なところです。

一括査定は「まとめて依頼できる」のが売りですが、多くのサイトでは依頼先を自分で選べます

物件情報を入力すると、対応できる会社が3〜6社ほど表示され、そこから選ぶ流れです。

6社すべてに送る必要はありません。3社選べば、連絡が来るのは3社だけです。

ここで一手間かけてください。表示された会社名を、決定ボタンを押す前に検索してみる。

投資用のワンルームを扱っているか。賃貸管理もやっているか。ホームページから会社の姿勢が伝わってくるか。

ただし、依頼先を選べないサイトもあります。入力すると自動的に全社へ送られるタイプです。

申し込む前に「依頼先を選べるか」を確認してください。ここが分かれ目になります。

何を見て絞ればいいのかは、別の記事にまとめました。

「どの不動産会社に相談すればいいか分からない」人へ。3社比較で見るべき4つのこと

3. 依頼するときに、連絡方法を書いておく

申し込みフォームには、たいてい備考欄や要望欄があります。そこに一行書いてください。

「日中は電話に出られません。メールでのご連絡を希望します」

これを書いておくと、多くの会社はメールに切り替えてくれます。

ただし、書いてあっても電話をかけてくる会社はあります。

そしてそれ自体が、判断材料になります。最初のお願いを聞かない会社は、契約後もこちらの意向を聞きません。

最後に

名簿を手に電話をかけていたころ、私が嫌だったのは、相手の都合も、時間も、そもそもその話を聞きたいのかどうかも、こちらには選べないことでした。

私がかけた一本が、相手にとっては迷惑電話になる。その可能性をいつも抱えていました。

業者側にも事情はあります。ノルマがあり、件数を求められます。悪意があってかけているわけではない人のほうが多いと思います。

それでも、受ける側にとっては都合の悪いときに鳴るものでしかありません。

だから今、こうして文章を書いています。

読みたいと思った人が、読みたいときに開ける。閉じたければ閉じられる。急かされることも、返事を求められることもない。

これが私にできる、いちばん失礼のない伝え方だと思っています。

査定を頼むかどうかも、同じです。急ぐ必要はありません。

今日できることは、匿名で相場を調べてみるだけでも十分です。数字が見えてから、次に何をするか考えればいいだけです。

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この記事を書いた人
いずみ

宅地建物取引士。不動産業界での実務経験を持つ元スタッフ。サブリース解約・売却支援・賃貸管理など、困ったオーナーさんに寄り添ってきた経験から、業界の本音を届けます。知識より経験を大切に、一緒に考えていきます。

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