ワンルームを売っても残債が残るとき、お金をどう用意するか。使える方法の選択肢は?

窓辺の机に向かい頭を抱える女性の後ろ姿。机には開いた通帳、電卓、書類の束、家族の写真立て、スマートフォン 売却・査定

ワンルームを売っても、ローンが残る。その差額が用意できない。

前の記事で、そこで止まってしまった方のことを書きました。(ワンルームを売る手前で止まったのは、残債との差が埋められなかったからでした

当時の私は、残債との差額をご自分の貯金から出すことしか伝えられず、その他の可能性を提案できていませんでした。

今になって、「あの時、他にどんな提案ができたのかな?」ともう一度自分に問いかけて調べてみました。

私なりに、この方法なら選択肢として提案できるものだと思ったものを上げます。

お金を用意する

貯金から出す

貯蓄型保険を
解約する

家族・親族に
借りる

それでも足りないとき

売り方を変える

任意売却

売っても借金が残ったとき

残った借金を整理する

特定調停

個人再生

サブリースの違約金は、契約のときの説明を思い出してください

サブリースを外してから売るなら、違約金を求められることがほとんどです。その金額の話に入る前に、確かめてほしいことがあります。

※サブリース契約のことを、正しくは「マスターリース契約」と言います。

契約したとき、「オーナー側から解約するには正当事由が必要です」と説明を受けましたか。

国土交通省の関東地方整備局は、公式のQ&Aでこう答えています。

マスターリース契約には借地借家法第28条の適用があるため、賃貸人都合の解約の際は正当事由が求められます。これは個別契約の規定より優先されます。

上述の借地借家法第28条の適用について、事前の重要事項説明でサブリース業者より説明がされていない場合は賃貸住宅管理業法第30条違反となる可能性がありますので、国土交通省への通報をご検討ください。

説明がなかったのなら、国土交通省に通報することができます。

先に、正直に書きますが、伝えてもあなたの契約が取り消されるわけではありません。この法律に、契約を取り消す規定はないからです。どんな事情が正当事由になるかを決めるのは裁判所だと、同じQ&Aに書かれています。調査の結果も教えてもらえません。

それでも、通報する意味はあります。

法律には「何人も申し出ることができる」と書かれています。そして国は「調査を行い、事実と認めるときは措置をとらなければならない」と決められています。あなたが一人で出した1通でも、国は調べる義務を負います。

やり方は、申出書に書いて、メールを1通送るだけ。電話も、業者とのやり取りも要りません。相手は業者ではなく国です。

不当な勧誘にあたると判断されれば、業者には6か月以下の懲役か50万円以下の罰金がありえます。処分が出れば公表されます。

違約金の相場は「サブリース解約の違約金、相場は?実務で見た契約書の中身」にまとめました。

参考:賃貸住宅管理業 よくある質問(国土交通省 関東地方整備局)申出制度(国土交通省)

まず、貯金で足りるかどうかを確かめてください

差額がいくらなのか分からないまま、「とても無理だ」と思っている方がいます。

数字を出してみたら、思っていたより小さいことがあります。逆に大きいこともあります。どちらにしても、金額が分かってはじめて、貯金で足りるかどうかを判断できます。

実際に、貯蓄から差額を出して売り切った方もいます。

全額を貯金から出す必要もありません。半分出せるなら、残り半分の手立てを探せば済みます。

その保険、本当に必要? 解約返戻金が差額埋めの救世主になるかも……

私は、貯蓄型の保険を良い商品だとは思っていません。投資と保険が混ざっていて、手数料が高いからです。

ただし、あと数年で払った額がそのまま回収できるなら、最後まで続けたほうがいいこともあります。

まず、保険会社にこの2つを聞いてください。

  • いま解約したら、いくら戻りますか
  • 満期はいつですか

確認することはタダなので、ここで一回保険を見直してみるのもいいかもしれません。

個人年金保険、養老保険、終身保険、ドル建ての保険。名前は違っても、貯蓄の部分がある保険はここに入ります。

参考:保険を契約している方へ(金融庁)元本割れする貯蓄型保険を解約すべき?(リベラルアーツ大学)

家族・親族に「助けて」と言ってください

家族や親族に「必ず返すので、なんとか無利息で貸してもらえないか」とお願いしてみましょう。

家族から非難されるかもしれない。また、プライドが邪魔して「そんなお願いできないよ!!」そんな声が聞こえてきそうです。ですが、ここはあえて言わせてください。家族・親族に「助けて」と伝えてお願いしてください。

「無利息はダメ」と言われてしまったら致し方ありません。しっかり借用書を作って、時間がかかってしまってもしっかり返していきましょう。このくらいの覚悟がないとワンルーム投資の出口は見えてきません。今の状況をしっかり受け止めて、家族にお願いしましょう。

どうしても足りないときは、任意売却という道があります

ここから先は、お金を用意する話ではなく、売り方の話になります。

差額をどうしても用意できないとき、金融機関の同意を得たうえで売る方法があります。これを任意売却といいます。

売ったあとに残る借金には、担保がありません。このあとに書く特定調停や個人再生は、担保のない借金を対象にした手続きです。

手順と注意点は「ワンルームマンションのローンが払えない…と思ったら。任意売却の前に確認してほしいこと」に書きました。

裁判所を間に入れて、返し方を話し合えます(特定調停)

裁判所を間に入れて、返し方を話し合う手続きです。

裁判所は、特定調停をこう説明しています。

借金をされている方等がこのままでは支払を続けていくことが難しい場合に生活の再生等を図るために債権者と返済方法を話し合う手続

申立て先は簡易裁判所です。借金そのものを減らすのではなく、返し方を決め直す話し合いの場になります。

次の個人再生より軽い手続きです。まずここから相談する道もあります。

参考:民事調停(裁判所)

裁判所が認めれば、借金の一部が免除されます(個人再生)

裁判所が認めれば、借金の一部が免除されます。

使えるのは、無担保の借金が5000万円以下で、これからも収入が見込める方です。認められれば、原則3年で決まった割合を返し、残りは免除されます。申立ての印紙代は1万円です。

もっと重い手続きとして、破産もあります。財産をお金に換えて配り、免責の許可を受けて返済を免れる手続きです。

ここから先は、私の経験の外です。どれが自分に合うのかは、専門家に聞いてください。相談先は「不動産投資をやめたいと思ったら。ワンルームマンションの無料相談窓口」にまとめています。

参考:個人再生(裁判所)破産(裁判所)

知っておくだけで、選べるものが増えます

最後に、ひとつだけ書いておきたいことがあります。

返済が滞ったまま何もしないと、最後は競売になります。部屋は新しい持ち主のものになり、入居者の方は、買い受けから6か月のうちに出ていくことになります(民法395条)。

入居者さん(実際にお部屋に住んでいる人)は、何も悪いことをしていません。それなのに、オーナーさんの事情で住まいを追われることになります。そのため、競売だけは絶対に避けなければいけません。

今日、どれかを決める必要はありません。

保険の解約返戻金はいくらか。家族に頼めるか。契約のときに説明はあったか。当てはまりそうなものが一つでもあれば、そこだけ確かめてみてください。

いま当てはまるものがなくても、選択肢を知っていれば、人に相談するときに話が早くなります。

この記事を書いた人
いずみ

宅地建物取引士。不動産業界での実務経験を持つ元スタッフ。サブリース解約・売却支援・賃貸管理など、困ったオーナーさんに寄り添ってきた経験から、業界の本音を届けます。知識より経験を大切に、一緒に考えていきます。

いずみをフォローする
売却・査定
いずみをフォローする
タイトルとURLをコピーしました