毎月の手出し、1年でいくらになりますか

開いた月めくりのカレンダー手帳と目覚まし時計、白紙とボールペン。緑色の背景 売却・査定

「足枷が取れて、すっきりした」
サブリースを解約して、ワンルームを手放したオーナーさんがいます。引き渡しが終わったあと、その方が最初に言った言葉です。

儲かった、でもありません。損した、でもありません。

毎月の手出しが止まる。それだけで、こんなに変わるのかと思いました。

毎月1万円でも、10年で120万円です

毎月の収支がマイナス1万円だとします。

1年で12万円。10年で120万円。ローンの返済があと20年残っていれば、240万円です。

毎月のことなので、1万円は小さく見えます。一度だけ、数字を大きくして見てみてください。

この金額は、これから動きます

今の手出しが、ずっと同じ額とはかぎりません。

出ていくお金は増えることがあります。入ってくるお金は、増えにくい仕組みになっています。ひとつずつ見ていきます。

修繕積立金は、上がる前提で作られていることがあります

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に、こういうモデルケースが載っています。

築後30年に必要な修繕工事費を確保するために、購入時に基金を36万円集め、初年度の修繕積立金は月6,000円。5年ごとに3,000円ずつ値上げして、26〜30年目には月21,000円にする、という想定です。

初年度の3.5倍です。

これは「段階増額積立方式」と呼ばれる積み立て方です。最初を安くして、あとから上げていく前提の設計になっています。

同じガイドラインには、こうも書かれています。

マンション購入者は、修繕積立金等に関して必ずしも十分な知識を有しているとは限らず、修繕積立金の当初月額が著しく低く設定される等の例も見られます

買ったときに見せられた収支表の積立金は、これから上がっていく途中の数字かもしれません。手元の通知を見て、この5年で上がっているか確かめてみてください。

(出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」令和6年6月改定)

家賃は、上がる材料が出ても上がりません

では、収入の側はどうでしょうか。

近くに新しい駅ができた。再開発が入った。賃料を上げる材料が出ることはあります。

ただ、サブリース(正式にはマスターリース)契約を結んでいる場合、上げるのは簡単ではありません。借地借家法の第32条に、賃料の増減についての定めがあります。

まず、こう書かれています。

ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う

契約書に「○年間は増額しない」と書いてあれば、その期間は上げられません。

特約がない場合も、続きにこうあります。

建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる

オーナーさんが増額を請求しても、業者が応じなければ、業者はこれまでどおりの額を払えば足ります。上げるには、裁判で確定させることになります。ワンルーム1戸の差額のために、そこまでする方は多くありません。

一方で、減額のほうは業者の側から請求できます。同じ条文の中で、方向によって動きやすさが違います。

(減額の通知が来たときの話は、家賃の減額通知が来たらに書いています)

まず、ご自分の数字を入れてみてください

「今いくらか」は、別の記事に計算フォームを置いています。家賃収入、ローン返済額、管理費・修繕積立金、固定資産税、管理委託料を入れると出ます。

売るべきか持ち続けるべきか|判断基準を整理した

出た数字に12を掛けてください。そこにローンの残り年数を掛けてください。それが、このまま持ち続けた場合の手出しの合計です。

売りに出ているワンルームが増えています

売る側から見ると、いま何が起きているか。

東日本レインズの集計(2026年6月度・首都圏の中古マンション)では、こうなっています。

成約件数4,241件(前年同月比 −1.3%・3ヶ月連続で減少)
在庫件数45,995件(前年同月比 +3.5%・4ヶ月連続で増加)
在庫の㎡単価23ヶ月連続で上昇

売り出されている物件は増えていて、その売り出し価格は上がり続けています。その一方で、成約は減っています。

同じような条件のワンルームが、いくつも売り物として並んでいる場合、その中から選ばれる理由が価格しかないのなら、値下げをしなければ買い手はつきません。

(出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「月例速報 Market Watch」2026年6月度)

最後に

今すぐ売ってください、とは言いません。

ただ、毎月の手出しが1年でいくらになるか、残りの返済期間でいくらになるか。そして修繕積立金がこれから上がるかどうか。この3つだけは、確かめてみてください。

数字が出ると、判断する材料が出てきます。

あの日「足枷が取れた」と言ったオーナーさんも、最初は数字を出すところから始めました。

タイトルとURLをコピーしました