家賃の減額、追加購入の薦め、解約の引き止め。
業者がやってくることは、たまたまではありません。
私が実務でお話しを伺っていた頃、全国で同じ相談が年2,000件ありました
投資用ワンルームマンションのご相談を受けるとき、私が最初に必ず伺っていたのは「サブリース契約かどうか」でした。
ご相談に来られる方には、共通点がありました。
- 毎月2〜3万円の手出しが続いている
- 持っているのは1〜3戸
- 毎月マイナスが出続けることに不安を感じ、考えることに疲れている
同じ頃、全国の消費生活センターなどにも、投資用マンションの相談が年に2,000件前後寄せられていました。
いちばん多かったのは40歳代で、全体の3割を超えていました。
参考:投資用マンションの相談件数と割合・契約当事者の年代別(国民生活センター 報告書 表1)
「買わせるスキーム」が決まっています
入口は、電話やアンケートです。
「節税のご案内です」と切り出す電話や、商品券やポイントがもらえるアンケート等から始まることが多いです。
入口の手口は、こちらにまとめました。
→ その勧誘電話、偶然じゃありません。ワンルームマンション投資に狙われやすい人の共通点
この記事で書きたいのは、その先です。
買ったあと、業者は何年もかけて逃げ道を塞いでいく流れでオーナーさんから搾取していきます。その「営業手法」が既に型(スキーム)となっているのです。
① 売った会社が、そのままサブリース会社になる
ローンを組んで買うと、売った会社か、その息のかかった会社がサブリース会社として入ります。
同じ名前のこともあれば、名前は違うグループ会社のこともありました。
② 数年たつと、家賃を下げる話が来る
サブリース会社は、借りている側の立場を使って「賃料減額」を求めてきます。
時間をかけて、数千円単位で下げていき、それを何回も繰り返します。
「そういうものか」とあきらめて応じるオーナーさんがほとんどでした。
→ サブリースの家賃、相場は本当に下がってる? 5分で確かめる方法
③ 手出しが増えたところに、業者がもう1戸をすすめてくる
手出しが増えて困っているところに、業者はこう言ってきます。
「今なら新築物件を購入できます。お持ちの物件より条件がいいので、手出しをカバーできますよ」
実際に、こうして3戸を持つことになったオーナーさんがいました。
→ 「買ったこと自体を後悔していました」3戸を抱えた地方公務員オーナーさんの話
④ 解約を申し出ると、業者が脅してくる
オーナーさんが「解約したい」と伝えると、業者は脅すような言い方で解約を断ってきます。気の弱いオーナーさんならなおさら、解約できない状況まで追い込んでいきます。
「脅す」ほどでなくても、優しい言葉尻で不安にさせる内容を言ってくる時点でこれに当たります。
→ サブリースは解約できない? 止めているのは法律ではなく、業者の言葉かもしれません
買った時点で、マイナスはほぼ決まっています
ご相談に来られた方は、「売るときに損が確定する」と思っている方が大半でした。
ですが、厳しい言い方をすれば「買ってしまった段階でマイナスほぼ確定」が実際のところです。
国土交通省も、ガイドラインで同じことを書いています。
サブリース業者による借り上げを前提に、賃貸住宅の建設、ワンルームマンションやアパート等の賃貸住宅やその土地等の購入をして賃貸住宅のオーナーとなろうとする場合、建設請負契約や土地等の売買契約を締結した後に、マスターリース契約の判断に影響をおよぼす重要な事項を認識しても、すでにその時点で多額の債務が発生している状況となる。
参考:サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン(国土交通省)
いま、「絶対に損はしない」と言うことは禁止されています
「家賃100%保証で、絶対に損はしない」。これは、いまは法律で禁止されている言い方です。
家賃は、法律で下がる場合があります。それなのに「絶対」と言い切るのは、事実と違うことを伝える行為です。
国土交通省のガイドラインは、禁止される行為の例を12件挙げています。
| 分け方 | 件数 | 例 |
|---|---|---|
| 事実をわざと伝えない | 3件 | 家賃が下がる可能性を伝えず、良い点だけを話す |
| 事実と違うことを伝える | 5件 | 「家賃100%保証で、絶対に損はしない」と言う |
| オーナーさんを困らせる | 4件 | 解約を止めるために、不安にさせる言い方をする |
ほかに、2つだけ取り上げます。
- 解約を止めるために、オーナーさんを不安にさせること
④で書いたとおり、これも禁止の1つです。 - 一度断った人を、また勧誘すること
1度でも違反になります。同じ会社の別の担当者が来ても同じです。
参考:サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン(国土交通省)
ただし、取り締まる法律ができたのは2020年12月です
この決まりができたのは、2020年12月15日です。
私がご相談を受けていた方は、みなさんそれより前に買っていました。
業者は、毎日マンションを売っているプロです。
オーナーさんの多くは、初めて不動産を買う方でした。
国土交通省も、サブリース業者とオーナーさんの間には「経験・専門知識等に大きな格差があります」と書いています。
見抜けなかったのは、あなたが特別うかつだったからではありません。
40代から20代へ、狙われる人が変わってきました
私がご相談を受けていた頃、いちばん多かったのは40歳代でした。
ですが2018年度には、20歳代が405件でいちばん多くなりました。全体の30.0%です。40歳代は264件まで減っています。
20歳代の相談の57.1%は、すでに契約したあとでした。
買ったきっかけは、訪問販売が45.2%、電話勧誘が23.2%です。
20代で、もう契約してしまった方へ。
一人で抱えずに、親御さんなど身近な方に話してみてください。
お金の用意の仕方は、こちらに並べました。
→ ワンルームを売っても残債が残るとき、お金をどう用意するか。使える方法の選択肢は?
契約して間もないなら、クーリング・オフなどができる場合もあります。
困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターを案内してもらえます。
参考:20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!(国民生活センター)
業者に言われたことを、この記事と見比べてみてください
いま業者から言われていることが、この記事のどれかに当てはまっていないか、見比べてみてください。
家賃を下げる話も、もう1戸のすすめも、解約を止める言い方も、ひとつの流れの中にあります。
当てはまるものが1つでもあれば、まずは自分の契約がサブリースかどうかから確かめてみてください。
確かめる順番は「ワンルームマンション投資をやめたいと思ったら。最初に確かめる3つのこと」に書きました。
一人で抱えるのが重いときは、「無料で相談できる公的な窓口」もあります。
少しずつでいいので、進めてみましょう。
